篠井家旧蔵吉田鉄郎城端郵便局資料

本資料群は、吉田鉄郎が同郷の城端郵便局第四代局長篠井多喜雄に設計を依頼されて作成した城端郵便局(設計1927、建設1927-28頃)に関連する資料である。城端郵便局の設計図面(青図)と設計時に吉田が篠井多喜雄に送付した仕様書とスケッチを含む書簡(1927年9月22日消印)からなる。加えて、所蔵者の厚意により篠井家が所蔵する当該建築の写真の複製の許可を得た(原本は返却)。城端郵便局は後年に解体されたが、当該資料群は篠井家で保管され、2020年6月に篠井家の蔵から発見された。当館は、別途吉田鉄郎資料を所蔵しているが、城端郵便局に関しては図面(原図1枚)しかなく、本資料群は上記資料を補完する貴重な資料である。

 

収蔵資料検索データベース

フォンド 29 – 篠井家旧蔵吉田鉄郎城端郵便局資料
https://db.nama.bunka.go.jp/index.php/epac-e577-bb7m

 

吉田鉄郎

吉田鉄郎写真1894年富山県生まれ。1919年東京帝国大学建築学科卒業、逓信省経理局営繕課に入省。1944年逓信省を退職。1946年日本大学教授。京都中央郵便局や東京中央郵便局、大阪中央郵便局をはじめとする多くの逓信建築を設計した。また、別府市公会堂のような施設や住宅建築、コンペ案といった幅広い作品を残したほか、ドイツ語による書籍出版やブルーノ・タウトの著作翻訳など、その活動は多岐に渡る。
主な受賞は、1942年勲四等瑞宝章、1953年日本建築学会賞(『Das Japanische Architektur(日本の建築)』)。

 

当館展示履歴

  • 2022年度「〈こどもの国〉のデザイン――自然・未来・メタボリズム建築 [併設]新規収蔵資料紹介」

安藤忠雄初期建築資料

安藤忠雄初期建築資料写真事務所創設時からの手描きの設計原図 の一部(35プロジェクト)であり、図面約800点からなる。主にトレーシングペーパーに鉛筆で描かれており、建築のさまざまな内容が1枚の図面に集成された独特な表現の建築図面を含む。


収蔵資料検索データベース

フォンド 28 – 安藤忠雄初期建築資料
https://db.nama.bunka.go.jp/index.php/cegp-37rm-smsf


安藤忠雄 ANDO Tadao

1941年大阪生まれ。独学で建築を学び、1969年安藤忠雄建築研究所設立。1997年東京大学教授。現在、東京大学名誉教授、国立近現代建築資料館名誉館長。イエール、コロンビア、ハーバード大学の客員教授歴任。
主な受賞に、1979年日本建築学会賞(住吉の長屋)、1985年アルヴァ・アアルト賞、93 年日本芸術院賞、1995年プリツカー賞、2003年文化功労者、2005年UIA(国際建築家連合)ゴールドメダル、10 年文化勲章、13 年フランス芸術文化勲章コマンドゥール、15 年イタリアの星勲章グランデ・ウフィチャーレ章、21 年フランス・レジオン・ドヌール勲章コマンドゥールなど。


主要作品

  • 1976 住吉の長屋
  • 1983 六甲の集合住宅Ⅰ
  • 1984 TIME’S Ⅰ
  • 1988 水の教会
  • 1989 光の教会
  • 1992 ベネッセハウス
  • 2000 淡路夢舞台
  • 2002 国際子ども図書館
    フォートワース現代美術館
  • 2004 地中美術館
  • 2006 表参道ヒルズ(同潤会青山アパート建替計画)
  • 2007 21_21 DESIGN SIGHT
  • 2009 プンタ・デラ・ドガー
  • 2014 上海保利大劇場
  • 2020 こども本の森 中之島
  • 2021 ブルス・ドゥ・コメルス/ピノー・コレクション

当館展示履歴

  • 2019年度「安藤忠雄 初期建築原図展――個の自立と対話」: 1970年代、80年代に竣工した初期24作品を展示

ヴァスムート社旧蔵吉田鉄郎関連資料

本資料群は、建築家・吉田鉄郎(1894-1956)の著作『Das Japanishce Wohnhaus』(初版1935、2版1954)、『Japanische Architektur』(1952)、『Der Japanische Garten』(1957)に関する原稿やページレイアウト、写真の切り取り位置を指示したスケッチ、手紙等からなる。吉田が逝去する直前の1956年までに作成され、ドイツの出版社であるヴァスムート社に送付後、保管されていた。吉田は東京中央郵便局などの設計で知られるとともに、上記著作の3部作は長らく海外における日本建築の基礎文献として知られてきた。本資料群は吉田による日本の住宅や建築、庭園への理解を伝えるものであり、彼の設計活動との関連を考える上でも重要である。

 

収蔵資料検索データベース

フォンド 27 – ヴァスムート(Wasmuth)社旧蔵吉田鉄郎著作資料
https://db.nama.bunka.go.jp/index.php/wasmuth

 

吉田鉄郎

吉田鉄郎写真1894年富山県生まれ。1919年東京帝国大学建築学科卒業、逓信省経理局営繕課に入省。1944年逓信省を退職。1946年日本大学教授。京都中央郵便局や東京中央郵便局、大阪中央郵便局をはじめとする多くの逓信建築を設計した。また、別府市公会堂のような施設や住宅建築、コンペ案といった幅広い作品を残したほか、ドイツ語による書籍出版やブルーノ・タウトの著作翻訳など、その活動は多岐に渡る。
主な受賞は、1942年勲四等瑞宝章、1953年日本建築学会賞(『Das Japanische Architektur(日本の建築)』)。

 

当館展示履歴

  • 2019年度「吉田鉄郎の近代―モダニズムと伝統の架け橋」
  • 2022年度「〈こどもの国〉のデザイン――自然・未来・メタボリズム建築 [併設]新規収蔵資料紹介」

シュパイデル旧蔵ブルーノ・タウト関連資料

本資料群は、ブルーノ・タウトが高崎に在住した時の活動に関わるものである。タウトは工芸製品のスケッチを描き、水原徳言氏ら井上工芸研究所の日本人スタッフが実施制作のために図面を書き起こした。図面にはタウトのサインや印鑑があるものもある。1986年に庄子晃子氏がこれらの図面239点の写真を撮影し、リストを作成した。その後、1986~88年頃、マンフレッド・シュパイデル氏は水原氏より一部の青焼図面126枚と、前述の庄子氏作成の写真の紙焼とそのリストを譲り受けた。なお、シュパイデル氏が譲り受けた青図126枚は水原氏所有の図面の一部であり、庄子氏が作成した写真紙焼資料239枚およびそのリストは、水原氏所有図面の全貌を示している。また、タウトがこれらの家具・日用品をデザインした折の日記・備忘録のコピーおよびそれを水原徳言氏の兄・徳恒氏が日本語訳したもののコピー、シュパイデル氏作成のドイツ語目録4冊も併せて寄贈を受けている。当該資料群はブルーノ・タウトが日本滞在中に作成した家具・日用品のデザインに関する資料であり、建築から家具に至るまでトータルにデザインを考え、多くの日本人建築家に大きな影響を与えたタウトの業績を理解する上で欠かせない資料である。

 

収蔵資料検索データベース

フォンド 26 – シュパイデル旧蔵ブルーノ・タウト関連資料
https://db.nama.bunka.go.jp/index.php/dc7h-6gye-mnhc

原広司+アトリエ・ファイ建築設計資料

建築設計図面(約15000枚)とスケッチ資料(約4000枚)からなる。前者は主に2000年までの作品であり、後者は2000年以降の作品も含む。代表作品は網羅されており、アトリエ・ファイ以前(RAS建築研究所)の資料も含まれている。JR京都駅ビル、新梅田シティ・スカイビル等の巨大プロジェクトには多量の図面とスケッチが残されており、設計の過程を詳細にたどることが可能である。スケッチ資料は立面全体を大きく描いたA0を超えるものも多く、独特な意匠が綿密な検討のもと生まれていることがわかる。
実現した作品の資料のほか、多種多様な挑戦的プロジェクト、たとえば「有孔体の世界」やラ・ヴィレット公園:パリ国際設計競技、さらには影のロボットといった作品の資料も多く含まれている。


収蔵資料検索データベース

フォンド 25 – 原広司+アトリエ・ファイ建築研究所資料
https://db.nama.bunka.go.jp/index.php/g476-hwyx-ws6b


原広司 HARA Hiroshi

原広司写真1936年神奈川県生まれ。1959年東京大学工学部建築学科卒業。1964年同大学大学院博士課程修了。1969年東京大学生産技術研究所助教授、1997年東京大学名誉教授。1970年アトリエ・ファイ建築研究所と協働開始、1999年より原広司+アトリエ・ファイ建築研究所に改称。
主な受賞として、1986年日本建築学会賞作品賞(田崎美術館)、1988年村野東吾賞(ヤマトインターナショナル)、1995年BCS賞(梅田スカイビル)、2003年BCS賞(札幌ドーム)、2013年日本建築学会大賞。


主要作品

  • 1964 浪花芸術大学設計競技
  • 1967 伊藤邸
  • 1970 粟津邸
  • 1973 原邸
  • 1982 ラ・ヴィレット公園:パリ国際設計競技
  • 1983 田崎美術館
  • 1984 影のロボット
  • 1985 ヤマトインターナショナル
  • 1986 飯田市美術博物
  • 1987 メディアパーク・ケルン 都市計画構想国際指名提案競技
  • 1991 JR京都駅ビル
  • 1993 宮城県図書
  • 1997 札幌ドーム
  • 2003 福島県立会津学鳳中学校

当館展示履歴

  • 2017年度「紙の上の建築 日本の建築ドローイング1970s-1990s」:原邸
  • 2020年度「ミュージアム 始原からの軌跡 1940年代-1980年代」:末田美術館、田崎美術館、飯田市美術博物館
  • 2021年度「〈住まい〉の構想 収蔵資料が物語る名作住宅1940-1975」:原邸
  • 2022年度「原広司―建築に何が可能か 有孔体と浮遊の思想の55年」:主要作品