名誉館長挨拶

 

建築は、人間の暮らしや風土、生活文化の集約されたものであり、社会と強く結びついています。とくに近代以降の日本建築は、伝統的な木造建築と西洋の建築文化が融合し、独自の発展を遂げてきました。

この世界に誇れる日本の建築文化を、より多くの人々に知ってもらい、次の世代へと受け継いでゆくために、国立近現代建築資料館は生まれました。

建築は、一人の力で出来るものではありません。依頼主や設計者、施工者等、関わる多くの人や組織が互いに対話を重ね、それぞれの思いが一つになって初めて価値あるものが生まれます。思いを伝える手段として、図面や模型やスケッチが使われます。これらの建築資料は、日本の建築文化がどのように進展してきたかを伝える貴重な歴史資料と言えます。

先人たちが築いてきた歴史に学ぶことで、今後より一層豊かな日本の建築文化が育まれてゆくことを心から願っています。

名誉館長 安藤忠雄