文化庁 国立近現代建築資料館

展示Exhibition

建築資料にみる東京オリンピック展 ギャラリートーク

国立近現代建築資料館におけるギャラリートークの意義

『建築資料にみる東京オリンピック』展では、設計図面・工事写真・模型等が展示されている。建築設計図面からは建物に関する情報が、工事写真からは施工現場の状況等を読み取ることができる。しかし、設計者の想いや施工者の努力及び社会的な状況等、資料の背景にある情報を読み取ることは難しい。これらの目に見えない情報についてお話しをうかがうため、国立代々木競技場の設計を担当された神谷宏治氏(建築) ・川口衞氏(構造)・尾島俊雄氏(設備)の3名によるギャラリートークを開催した。

ギャラリートークの内容は口述記録(オーラルヒストリー)として記録保存する予定。


講師

川口衞氏(川口衞構造設計事務所主宰)

2013年5月25日(土)

川口衞氏は、坪井善勝のもと、国立代々木競技場第一体育館の大屋根の構造を担当した。その際に遭遇した問題と解決方((1)ケーブルネットでは得られないダイナミックな屋根曲面を作るセミリジッド梁、(2)メインケーブルの横開きに対応する円錐回転サドル、(3)メインケーブルセミリジッド梁を自由に繋ぐ土星リングコネクター、(4)強風による屋根の振動を抑える制震装置)についてお話いただいた。


左:屋内総合競技場本館建設技術記録[記録映画](資料提供:一般社団法人記録映画保存センター/制作:株式会社岩波映画製作所制作、清水建設株式会社) 説明写真
右:第二体育館建設過程写真[写真デジタル出力](資料提供:株式会社大林組) 説明写真


神谷宏治氏(元・URTEC(都市・建築設計研究所代表取締役))

2013年6月1日(土)

神谷宏治氏は丹下都市建築設計事務所の代表取締役として国立代々木競技場全体の設計に携わっていたため、その建設の経緯をお話しいただいた。とくに、代々木国立競技場建設のアイデア((1)巴型平面、(2)明治神宮の導線と直行した建物の配置計画、(3)都市軸を意識した広場の作り方)を丹下研究室の学生達がどのように練りだしていったのか、また、学生が出したアイデアを丹下健三や技術者達とともにどのように実現までこぎつけたのかといった建築の裏側に隠されたお話を御説明いただいた。


左:東京オリンピック会場施設模型(国立代々木競技場)[模型](資料提供:独立行政法人日本スポーツ振興センター) 説明写真
右:国立屋内綜合競技場設計図建築設計図(納品図)[青焼き製本](資料提供:文部科学省、制作:株式会社都市・建築設計研究所) 説明写真


尾島俊雄氏(尾島俊雄研究室代表)

2013年6月8日(土)

尾島俊雄氏は、早稲田大学大学院生時代に井上宇市研究室の一員として、国立代々木競技場第一体育館の設備設計に携わった。その中でも、自らが担当した巨大ノズルに代表される空調設備の実験や建設後の環境調査についてお話いただいた。

また、尾島氏が行った新国立競技場コンペ案(展示作品:山下設計+UN studio案)における都市環境の調査研究が代々木屋内総合競技場の第一体育館の内部環境の設計とどのように繋がっているのかについて御説明いただいた。


左:国立屋内綜合競技場設計図暖房換気設備図(納品図)[青焼き製本](資料提供:文部科学省)、 説明写真
右:尾島氏によるショートレクチャー


進行

桐原武志(主任建築資料調査官)